「え? あ、あの… えっと…。」

レニは突然の出来事に目を白黒させた。
そして現状を理解すると真っ赤になって慌てて逃げ出そうとしたが、大神ががっちりと捕まえていたためにそれは出来なかった。

「たいちょう……。」

言外に離してと訴えるようにレニが言うも、大神は全く離そうとしなかった。



レニにはどうしてこうなったか全くわからなかった。
今日は休日で、お互いに特に用事もないから、どこにも行かずのんびり過ごそうと話していた。
だから朝ごはんとかを済ませて大神の部屋へとやってきた。

大神が扉を開け、レニが部屋の中へ入り、大神が扉を閉めた。
と思ったら突然大神がレニを後ろから抱え上げ、ベットに腰掛けるとその膝の上に座らせぎゅっと抱きしめた。

恥ずかしさのあまりレには逃げ出そうとしたが、どうあがいても逃げられず諦めて力を抜いた。
そうすると感じるのが温もりと、抱きしめ守られてるという安心感。
少し鼓動は早くなったけど、何よりもほっとした気持ちになった。
そんな気持ちのままレニは大神の胸に頭を預けると、さらに大神はぎゅっと抱きしめた。



「突然ごめんな、レニ。」

しばらくたった後、大神は腕を緩めレニの顔をのぞき込みそう言った。
レには言葉にできず、ただ軽く首をふった。

「最近忙しくてなかなかふたりっきりになれなかっただろ?
 レニは仕事上、他の男に見られる機会が多いし…
 レニのことは信じてるし心変わりをするとは思ってないけど、それとは別に他の奴には見せたくない、閉じ込めておきたいって思ってしまうんだ。」

レニは大神が自分と同じようなことを思っていたことにびっくりした。
そしてそんな風に自分を思ってくれてることが嬉しくなった。

「…ボクも、同じように思ってた。
 他の女(ひと)を見ないで欲しいって、ボクだけしか見えないように閉じ込めてしまいたいって。」

レニの言葉を聞き、大神は再びレニをぎゅっと抱きしめた。

「現実にそんなことはできないことはわかっている。
 でもだからこそ、ふたりだけの時はこうやってレニを抱きしめていたい…。」

大神の言葉にレニはただひたすら頷いた。



それからというもの、ふたりっきりの時は大神の膝の上がレニの定位置となった。
ただ、夜中だけはこの位置は別の意味で危険だと悟るようになった。



なんか突発的に大神さんの膝の上でオロオロするレニが浮かんできまして、思わずつらつらと書いてしまいました。
でも当初とは何故か方向性が違ってます。
こんなに重くするつもり無かったのになぁ〜〜(苦笑)

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