は〜るとなつとの〜 あ〜いだには〜 あ〜めにけぶ〜るよ あ〜じさいが〜♪
フントに餌をやろうと中庭にきたレニは、聞こえてきた歌に足を止めた。
声がした方に視線を向けると、さくらが噴水の前で心ここにあらずという状態で歌っていた。
な〜つとあきとの〜 あ〜いだには〜 あ〜めにうた〜れる ひ〜がんばな〜♪
「わん!」
さくらの歌う姿に何かを感じレニはその場を動かずにいたが、餌を持ってきたレニに気づいたフントの声にさくらが振り向いた。
「レニ……。」
さくらが戸惑ってるのを感じたレニはフントの前に餌を置くと、そのままさくらの側へといった。
「花暦、だね。」
レニが曲名を言うと、さくらは軽くうなづいてからまた噴水を見だした。
「……お仕事の帰りにね、彼岸花を見つけたの。
もう夏も終わりだなぁ〜と思って見てたらこの歌を思い出して。」
そういうとさくらは流れ落ちる水に手を伸ばした。
「雨に打たれる彼岸花はすみれさんなの。」
その言葉にレニはさくらが何を思ってたのかを理解した。
花暦はさくらとすみれで歌う曲、そして彼岸花が出てくるところはすみれのパートだ。
彼岸花を見、噴水の水を雨に重ねあわせて、歌と共にすみれを思い出したのだろう。
「……もう、歌えないのね、この歌は。」
みんな納得して笑顔ですみれを送り出したものの、ふとした瞬間に寂しさが胸をよぎる。
隊長の時と違ってもう2度と一緒に舞台に立つことはないのだというのが、さらに寂しさを駆りたてていた。
そんなさくらをレニはしばらく黙って見てたが、ふと何かを思いつき声をかけた。
「他の人が歌ったらどうなるかな?」
「え?」
突然のレニの言葉にさくらはびっくりしてレニの方へ向いた。
「すみれの曲を別の人が歌うのってどうかな?
すみれの曲だけじゃなく、他の人の持ち歌を歌うって面白いと思う。
さくらは自分の曲以外に歌ってみたいのはない?」
レニの提案にさくらは少し考え込んだ。
「……紅蜥蜴を歌ってみたいかも。
すみれさんほど、妖艶には歌えないかもしれないけど。」
その言葉にレニは笑顔になった。
「うん、いいんじゃない。
早速隊長を探して言ってみようよ!」
レニの気遣いを感じさくらも笑顔を見せた。
そして大神を探すべく、まずは支配人室へと向かった。
「ちなみにレニは何が歌いたいの?」
「ボクは少年レッド!!!」
「ええっ!?」
花暦、私の好きな曲の一つです。
しっとりと日本の四季が歌われるいい曲です。
最初はほのぼの系をめざしてたのですが、いつの間にか切ない感じに。
なんとか救済せねばと書いてたら、思い出したのが新春の持ち歌交換。
少年レッドをゲームのレニで出そうとしたら、もう落ちにするしかありませんでしたw
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