嵐の夜はあの日のことを思い出す。

 アイリスがくれた花かざり
 友達という言葉
 戦うことの意味
 ボクを操り、死んでしまった悲しい人
 そして・・・

 傷つけられながらもボクを助けてくれた人


「あれ、レニ?」
「隊長・・・」
懐中電灯を持った隊長がサロンに入ってきた。
どうやら見回りの途中みたいだ。
「こんな時間に何をしているんだい?」
「外を見ていたんだ。」
「外?」
「うん。
 こんな嵐の夜にはあの日のことを思い出してしまうんだ。
 サキさんに操られて隊長を傷つけたあの日のことを。」
「レニ・・・」
悲しそうな顔をする隊長にボクは笑顔を向けて言った。

「ボクは大丈夫だよ、隊長。
 隊長を傷つけたことは事実、それはいつまでたっても変わらない。
 だからってそのことをいつまでも引きずっていたら、悲しむ人がいるということも教えてもらったから。」

隊長の顔にやさしい笑みが広がっていった。
「それに・・・」
ボクはちょっと恥ずかしくなってうつむいて言った。

「ボクにとって隊長が大事な人だということを知った日でもあるから・・・」
すると隊長がボクをやさしく抱き締めてくれた。
「強くなったね、レニ」
「隊長がそばにいてくれたからだよ。」
 
嵐を見るたびにボクはあの日のことを思い出すだろう。
悲しい記憶であるとともに大切なことを知った日でもあるのだから。


初めて書いた小説です。
旧サイトに載せてました。
残ってるデータを見ると、これを本家にアップしたのが2000年の9月14日。
懐かしいなぁ〜と思い出にふけってしまいましたw。


2010/9/21 再録

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