帝撃関係の仕事を終えた帰り道、大神はひとつの木前でたたずむレニを見つけた。
木の上の方を見上げてるレニが、少し淋しげにでも何かを慈しむような表情をしていて、大神は思わず見とれて足を止めた。

「あ、隊長。」

自分を見つめる視線に気がついたのか、レニが大神を見つけ華やかな笑顔を向けた。
レニと出会ってから5年がたった。
最初は少年と見間違えられたレニだったが、今では誰もが見惚れるほどの綺麗な女性となっていた。
出会った頃から少し伸びた髪とスカートが風に吹かれ軽やかに揺れる様に、大神は1枚の絵のように感じ目が離せなかった。

「お帰りなさい、会議はうまく行った?」
自分の元へと歩きながら話しかけるレニに、大神はまた見とれてた自分に内心苦笑しつつ答えた。
「あ、ああ、ただいま。
 会議は順調だったよ、あとは待つだけだ。」
「そう、良かった。」
側に来てにっこりと笑うレニを見て、顔が赤くなるのをごまかすように大神は尋ねた。
「それはそうと、レニはここで何をしてたんだい?」
するとレニは先程見てた木へと視線をやった。
「桜を見てたの。」
言われて大神が木へと視線をやると、小さな花が少し咲いているのが見えた。
「この桜、早咲きみたいで毎年1番に花をつけるんだ。
 だから今年も咲き始めたのを見つけて満開になる日を楽しみにしてたんだけど、この数日また気温が下がったから次の花がなかなか開かなくって……。
 寒くても咲いた花を散らさず一生懸命耐えてる姿が、すごく愛しいって感じたんだ。」
レニはまたさっきの慈しむような表情に戻っていた。
そのことに大神は軽い嫉妬を覚えた。
「そっか。」
ごまかすように大神はレニに手をさしのべると、レニは何の疑問も持たず手を重ねた。
そのことに大神は安堵し、そのまま手を繋いで帝劇へと帰っていった。


短くてすみません;
「咲き始めた花たち」の設定を引き継いだものです。
きちんとした話を考えてて、これはそのプロローグに当たるものです。
本当はもっと書く予定だったのですが、オリキャラがすごく出張ってるので10周年のイベントの中に入れるのもどうかなと思いまして;;
このサイトに来てる方は大神さんとレニのあまあまを望んでる方が多いみたいなので、この部分だけでいいかなとも(爆)
突然切ったので、タイトルは適当です(滅)

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