色とりどりのライトが光り、軽快な音楽が流れていく。
クリスマス・イブを明日に控え、この時間を楽しもうとする人が溢れかえっていた。
だが俺はそんな気分になれず、夕飯を済ませると早々に与えられた船室へと戻っていった。
ベットの端に座り込み懐中時計を取り出す。
帝都の時間に合わせてある時計は、もう少しで12時を指そうとしていた。
帰れると思っていた。
この日にはもう帝都にいて、君のそばで祝えるのだと。
1度思っただけに叶えられれないと思ったときの落胆は激しかった。
せめてとプレゼントだけは空輸便で送ったのだが……
カチッ
かすかな音を立て時計の針が重なる。
「誕生日おめでとう、レニ。」
答えるもののいないつぶやきは周囲の音ですぐに消えてしまった。
窓から外を見上げると少し欠けた月が小さく浮かんでいた。
君という存在が生まれた聖なる夜。
そのことに感謝の祈りを。
俺は窓際に立つと月に向かって祈り始めた。