洗いざらしのワイシャツに腕を通す。
ただワイシャツを着るだけなのに心臓の回転数がどんどんはやくなっていく。
はじめて着たワイシャツは羽織った瞬間にふわっと隊長の匂いがした。
まるで隊長に抱きしめられてるみたい………
そう思った瞬間、顔の表面温度があがっていくのを感じた。
その思いを振り切るようにボクは首をふるとワイシャツのボタンを留めていく。
それでも心拍数は下がらずどんどんはやくなっていくように感じた。
隊長がワイシャツを着て寝てると聞いた瞬間、思わずボクは欲しいって言ってしまった。
ついもっともらしい理由を言ってしまったけどそんなのは関係なかった、ただ欲しかったんだ。
そういえばあの時の隊長、変な顔してたけどどうかしたのかな?
すぐもとに戻ったけど………
アイリスからもらったぬいぐるみを抱えて布団に入る。
不安な時さみしい時、このぬいぐるみを抱えて寝ると不思議と落ち着いたからだ。
それなのに今日は落ち着かない、どきどきがとまらない。
理由はわかってる。
隊長のワイシャツを着てるから、隊長の匂いに包まれてるから………
「たいちょう………」
ぬいぐるみに向かって小さくつぶやいてみる。
ボクの心はどんどんわがままになっていく。
隊長が巴里にいたころは大丈夫だったのに、今はどんな時でもそばにいて欲しくて、そばにいたくて。
「ボクだけを見て欲しい」
その言葉を何度飲み込んだんだろう。
わがままだとわかってるのにどうして止められないのだろう。
ボクは意を決するとぬいぐるみをベットに置いて部屋を出た。


コンコン
扉をたたく小さな音が部屋に響く。
こんな真夜中にいったい誰だろう
疑問に思いながら大神が扉を開けるとそこにはレニが立っていた。
「レ、レニ…。」
大神の思考回路が一瞬にして飛んでいった。
なぜなら、レニは素肌に大神のワイシャツを着ただけの状態で立っていたからだ。
「夜遅くにごめんなさい。少しいいかな?」
「あ、ああ。」
大神はボーとしたままレニを部屋に迎え入れる。
そしてレニが扉を閉める音を聞いて大神ははっと気づいた。
も、もしかしなくてもこの状況ってかなりやばくないか?
大神は自分の理性にかなり不安を感じた。
レニの胸元や太ももから目が離せないでいるのもよけいに不安をあおっている。
「そ、それで、いったい何のようなんだい?」
大神のあせったような声に気づいているのかいないのか、レニは突然大神に抱きついた。
「レレレレ………。」
レニの突然の行動に大神はまともに話すことさえできなくなった。
「わがままだとわかってるけど、少しの間だけこのままでいさせて………。」
大神の胸に顔をうずめるようにして話すレニに大神はパニック状態になった。
このままって、このままって
落ち着くんだ、たぶんレニは深い意味でいったわけじゃないだろうし
レニのふとももってやわらかそうだったよな〜
思ってたよりも胸があるし…
落ち着け、落ち着くんだ俺
「だめ?」
大神が言葉を返さなかったのでレニが不安になって大神を見上げた。
レニのすがるような眼は大神の理性を吹き飛ばすのに十分な力を持っていた。
「た、たいちょう??」
突然大神はレニを抱きあげるとレニをベットにおろした。
そしてレニの上にかぶさり、レニの目をじっと見つめる。
「レニ………。」
「たいちょう………。」
レニは顔を真っ赤にしながらそっと瞳を閉じた。
その行為に大神は受け入れてもらえたのだと思い唇を重ねる。
ついばむようなキスを繰り返してしばらくレニの唇のやわらかさを楽しんだあと、そのまま首筋を通り滑らすように胸元へ。
ワイシャツのボタンをはずしていきながら胸にしるしをつけたところで大神はすーという音を聞いた。
「レニ?」
ふと大神が見上げるとレニは寝ていた。
「レ、レニ?」
軽くゆすってみるがレニが起きる気配はない。
「レニ、今この帝劇で一番危険なのは俺なんだぞ。
 そんなに安心して寝ていいのか?」
あせったように大神が話し掛けるが返ってくるのはかすかな寝息だけだ。
「はぁ〜〜〜〜〜。」
大神はなが〜いため息をつくとレニのワイシャツのボタンを元通りに留め、上布団をきちんとかけた。
予備の毛布を取り出し、ベットから一番遠い位置に座り込み毛布にくるまる。
俺、今日寝れるだろうか………
大神はそう思いながら瞳を閉じた。
制作時間約1時間、何も聞かないでください(爆)

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