「涼しい……」
外へと出たレニは感じた空気に思わずつぶやいた。
つい昨日まで感じていた湿度の高さによるじめじめとした感じは一掃されて、乾いたさわやかな空気が穏やかに流れていく。
「お、そうだな。」
レニに続いて出てきたカンナもレニの言葉に同意する。
「カラッとしてて、風の温度も低くて、走るにはちょうどいいな。」
嬉しそうに言うカンナにレニはただうなずいて同意した。
二人は毎日ではないがよく一緒に朝の街を走っていた。
これはレニが心を取り戻してからの習慣で、ただ黙々と鍛錬室で走るよりもいろいろな発見があるということにきづいたレニがカンナの走りに付き合うかたちで街を走り出したのだ。
今日ももちろんこれから走るつもりで二人して出てきたところだった。
「ん、どうした?」
聞いてはいるもののちょっとここに心あらずなレニの様子が気になったカンナは問いかけた。
「昨日まで暑かったのに一気に涼しくなったから、もう夏も終わりなんだなと思って……。」
そういうレニの目はここではないどこか遠くを見ていた。
つられてカンナも空を見上げる。
空に浮かぶ雲も夏のどんよりとしたものではなく、さらに高く秋らしいものに変わっていた。
「あたいは季節の中で夏が1番好きだから、終わるとなるとちょっと寂しいな…。」
カンナのつぶやきがそのまま空に吸い込まれるように感じながら、二人はしばらくそのまま黙って空を見上げていた。
「ま、秋は秋で食べ物がうまいし好きなんだけどよ。」
さっきまでのセンチメンタルな雰囲気はどこのその、突然思い出したようにカンナが言った。
そんなカンナにレニは笑いだした。
「カンナといると感傷的な気分は長続きしないね。」
ばつが悪そうに頭をかくカンナを見て、レニはさらに笑った。
「そ、そろそろいくぞ。」
振り切るように突然走り出したカンナにレニは了解とつぶやいて追いかけていった。
暑中見舞いも残暑見舞いも描けず時間が過ぎてやばいなぁ〜と思ってたところで、突然降りてきたレニとカンナのお話。
なので急遽この話を初秋見舞いとして送ることにしました(爆)
相変わらず短いですけど(滅)
よく考えたらカンナがらみの話ってアップするのは初めて?
この前、出し損ねた本には書いてあったんですけどね(苦笑)
ついつい絡ませやすいアイリスや織姫を書いてしまうので、他の人の出番が少なくなってしまいます;;
9月30日までフリーとさせていただきます。
(終了しました)
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