「志保ー!!」
今まさにオレンジ色の機体に降魔が襲い掛かろうとしたとき、横から猛スピードでやってきた青い機体が持っていたランスで降魔を串刺しにした。
「志保、無事?」
「あ…たいちょう。」
答える声は少し震えているもののはっきりしており、危険レベルに達してないことが判明したのでレニはほっとした。
「春香、動ける?」
「はい、大丈夫です。」
近くにいた桃色の機体に乗った少女が答えた。
「志保を連れて一時撤退、命令があるまで待機……。」
「待ってください! 私はまだ戦えます!!」
レニの言葉をさえぎって志保が異を唱えた。
「駄目だ、今の志保に戦闘の継続を許可できない。」
いつもよりも厳しい口調で答えるレニに、志保は反論の言葉を失った。
そしてそのまま他の仲間の元へと走り去ったレニを見つめ続ける志保に、春香もまたかける言葉を見出せずにいた。

「きゃーー!」
「うわぁー!!」
刻一刻と戦闘の状況は悪化していった。
『今の花組ではこの戦闘は勝利できない。』
レニは隊長として花組をまとめきれてない自分の力不足を痛切に感じた。
このままでは命を落とすものも出てくるだろう。
そう思ったレニは覚悟を決めるたようにきっと前を睨んだ。
「花組各機へ通達、降魔をG6地点へ誘導すること。
 なお、誘導後は速やかに後方へ移動するように。」
隊員からの質問反論を無視して、レニは降魔を挑発するように霊力を叩きつけた。
そのまま自らをおとりにして目的地点へと移動する。
必殺技を発動するべく霊力を高めつつ降魔の攻撃をかわしていく。
最後の1体が目標地点へと入ったとき、レニが叫んだ。
「ビオラ、最後の降魔が目標地点へと入った。
 今すぐ後退を!」
「了解!」
ビオラが安全圏まで避難したのを確認し、レニは霊力を開放した。

「キルシュブリューテ!!」

通常1方向にだけに向ける力をこの場にいるすべての降魔へと向ける。
そのために持ちうる霊力をすべて使った。
これは賭けだった。
もし生き残るものがあれば、そのときはレニ自身の命が危うい。
光の渦がおさまったとき、降魔の反応はすべて消えていた。
「賭けに…勝った。」
ほっとした瞬間、崩れ落ち片ひざをついた。
「隊長!」
「大丈夫ですか!?」
次々と隊員から入ってくる心配する声に答えようとしたとき、不吉な鳴き声が響き渡った。
「なっ!?」
近くの林から降魔の反応が現れた。
「隠れて……いたのか。」
3匹の降魔は空に舞い、一直線にレニに向かってきた。
もう駄目だと思った瞬間、レニの視界を埋め尽くしたのは白い色だった。
金属をぶつけたような音が鳴り響いたあと、肉を切るような音が聞こえた。
「レニ、無事か!?」
続いて響いたのは何よりも愛しい人の声。
「あ………。」
大神は残っていた降魔をあっという間に切り伏せた。
そして光武から降り、レニ機のハッチを開けた。
「レニ、大丈夫か?」
かなり心配げにレニを見やる大神。
レニがうなづくと大神はレニ機の通信を開いた。
「花組各員に告ぐ、自力で移動できるものは翔鯨丸へ帰還すること。
 動けないものはその場で救援を待て。
 風組は花組の救援及び機体の回収を急げ。」
大神は通信を切ると動けないレニを抱きかかえた。
「たい、ちょう…。」
厳しい表情の大神にレニはなんと言えばいいのかわからないでいた。
「レニ、自分を犠牲にするようなまねはやめてくれ。」
覗き込む大神の眼は傷ついた色をしていた。
「レニを失ってしまうのではないかと俺は………。」
涙は流してないがレニには大神が泣いているように見えた。
「ごめんなさい。」
レニは大神の服をぎゅっとつかんであやまった。
あやまるしかできなかった。

レニ隊長、その後(その前?)話。
レニが隊長として指揮をしてる風景がポンと浮かんだのでそれを書いてみようかと。
あ〜〜、戦闘シーンは難しい;;
大神さんは絶対出したかったので、レニをかばってもらいました♪
これ書く用にいろいろ設定を作ったのですが、もしかしたら続きを書くかもなので出さずにおいておきます。
でも、これの続きを読みたがる人はいるのか?

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