「雪?」
ふんわりと舞う小さな物体を見つけてボクはそうつぶやいた。
「雪、みたいだな。」
隣を歩いていた隊長が同意する。
「日が差してるのにどうして?」
冬場のしかも朝の日差しは弱いが、それでもしっかりと光の筋を道路に映し出している。
空を見上げても雪を降らせそうな重い雲は見当たらない。
「風が遠くで降っている雪を運んでくるんだよ。
 だからほら、普通に落ちてくるんじゃなくて舞ってるだろ?」
そう言われてよくみてみると確かにあがったり下がったりするだけでなかなか地面には落ちてくる気配が無い。
「こういう風に晴天にちらつく小雪片のことを日本じゃ『風花』って言うんだ。」
「風花……。」
口に乗せてみるとなんだかしっくり来る言葉だった。
風に舞う花、まさにその通りだとボクは思った。
それからしばらくボクたちはその場に立ち止まり、風花の舞を見つめていた。
風花が舞っていた日に浮かんだものです。
普通の雪は「舞い降りる」、風花は「舞い散る」、私はそういう風に思ってたりします。

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